国営化が避けられそうもないアントグループ

国営化が避けられそうもないアントグループ

アントグループの国営化が着実に進展している。北京五輪でのデジタル人民元のお披露目を控える中、対抗馬の管理を強めようとする習近平政権の思惑が見え隠れする。

吉田拓史

要点

アントグループの国営化が着実に進展している。北京五輪でのデジタル人民元のお披露目を控える中、対抗馬の管理を強めようとする習近平政権の思惑が見え隠れする。


中華人民共和国財政部が所有する中国信達資産管理(China Cinda Asset Management)は12月下旬、香港証券取引所への声明の中で、60億元(約1081億円)を拠出し、アントグループの消費者金融部門の株式20%を取得すると発表した。シンダは子会社の南洋商業銀行を通じてさらに4%を実質的に保有することになる。

今回の株式売却により、設立されたばかりの重慶アントコンシューマーファイナンスの登録資本金は約4倍の300億元(47億ドル相当)になる。これにより、同ユニットはより大きなバランスシートを維持できるようになり、顧客により多くの信用を与えることができるようになり、アントの改革の重要な部分が一歩前進したことになる。

アントは失脚したインターネット業界の大物、ジャック・マーが経営しており、世界最大規模となるはずだった370億ドルの新規株式公開が2020年11月のデビューの数日前に阻止されて以来、中国の規制当局から資本基盤の拡大と国家投資家の導入を迫られている。

アントは、4月に中国の銀行規制当局から重慶にある消費者金融部門のライセンスを取得した。このライセンス取得に伴い新たに設立された消費者金融部門は当初、南洋商業銀行が15%、国有企業で中国最大級の資産管理会社である中国華龍資産管理有限公司が5%の株式を保有していた。

今回の増資により、南洋と華融はともに希薄化し、中国信達は同部門の第2位の株主となる。アントグループは同社の50%の支配権を維持する。

中国信達は声明の中で、今回の投資により、「大手消費者金融業者との密接な協力関係の構築」が可能となり、中国で急成長しているオンライン消費者金融業界でより強固な足場を築くことができると述べている。

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