米自動走行ベンチャーのAurora Innovationは1月18日、中型・大型トラックメーカーのPacCarと協力して、将来の自律走行トラックのための「拡張的な」計画を策定すると明らかにした。AuroraとPacCarは、部品の調達や車両技術の強化から、車両とAuroraのハードウェア、ソフトウェア、運用サービスの統合に至るまで、「あらゆる面で緊密に協力していく」としている。

一部の専門家は、パンデミックの影響で、配送用の自律走行車の採用が急がれると予測している。自動運転の自動車、バン、トラックは、ドライバーとの接触を制限することで、病気を拡散させるリスクを最小限に抑えることが期待されている。これは短距離貨物に関しては特に当てはまるが、パンデミックの発生中に貨物量が急増している。これは、倉庫や配送センターからEコマースのフルフィルメントセンターや店舗への短距離配送の需要に牽引されたものと考えられている。

Auroraは他にも商業用トラックメーカーPeterbiltとKenworthのドライバーレストラックのテストと検証を行う計画を持っている。両社は今後数年以内に北米での展開を予定している。

Auroraは当面は貨物輸送を視野に入れている。1月にAuroraは自律システムであるAurora Driverは、これまでにセダン、SUV、ミニバン、商用バン、貨物トラックを含む6つの異なるタイプの車両に統合されており、密集した都市環境でもシームレスにそれぞれの機能を実行できると主張している。さらに最近では、Auroraはテキサス州の一部でセミトラックを含むドライバーレス車両のテストを開始すると発表した。

Auroraは2020年、Amazonなどから総額6億ドル、企業価値20億ドル以上の投資を募り、その一部をLiDARセンサーの新興企業Blackmore Sensors and Analyticsの買収に充てた。現在、100億ドルの企業価値があるとされているパロアルトを拠点とするAuroraは、ソフトウェア、インフラ、ロボット工学、ハードウェア、クラウドの中堅から上級レベルのエンジニアを中心に、より多くの従業員を雇用すると約束している。このスタートアップはビジネスモデルについてはあまり語っていないが、フォルクスワーゲン、現代自動車、電気自動車スタートアップのバイトンと提携している。

Uber ATGの買収

Auroraは、Uberの自律走行車部門であるAdvanced Technologies Groupを40億ドルと報じられる額で買収した。買収の詳細な条件は非公開だが、TechCrunchによると、Uberは4億ドルをAuroraに投資してAuroraの株式26%を取得したとされる。

ATGは2019年、トヨタ、デンソー、ソフトバンクのビジョンファンドから10億ドルの投資を受けて72億5000万ドルの企業価値に達し、米国証券取引委員会への提出書類によると、UberはUber ATGに対して86.2%の株式(完全希薄化ベース)を保有していた。トヨタらは13.8%を保有していた。この取引が完了すると、Uberとトヨタなどはオーロラで雇用を継続するATGの従業員とともに、完全希薄化ベースでオーロラの約40%の持分を保有することになると予想されているとTechCrunchは報じた。

UberのCEOであるDara KhosrowshahiがAuroraの取締役会に参加。AuroraはATG社の買収により、ATG社の従業員数は約600人から約1,200人に増加しすることになるという。

ATGは、Uberがカーネギーメロン大学(CMU)のNational Robotics Engineering Center(NREC)の3分の1のスタッフに当たる約50人を迎え入れたことで発足した。1997年からNRECに在籍したDavid StagerはUberのリードシステムエンジニアとなり、12年近くNRECに在籍していた上級商業化スペシャリストのJean-Sébastien Valois、1997年からNRECに在籍し4年半所長を務めたAnthony Stentzなど、多くのトップ職員が転職した。

しかし、ATGは茨の道を辿ることになった。Uberは、Googleのスターエンジニアの1人であるアンソニー・レヴァンドウスキーが他の3人のGoogleのベテランとともに設立したOttoと呼ばれる自動運転トラックのスタートアップを買収したが、これに対しWaymoは2017年2月、営業秘密の窃盗と特許侵害を理由にUberを相手取り訴訟を起こした。Waymoはこの訴訟で、レヴァンドウスキーが企業秘密を盗み、それがUberによって使用されたと主張した。

訴訟が終わった後、2018年にアリゾナ州で自律走行車の試験中に死亡事故を引き起こし、業界全体が停滞した。以降、安全性に焦点を当てる方針に転換し、ATGはトヨタなどから集めた資金を含む25億ドルをプロジェクトに費やしたが、研究の停滞が伝えられていた。

Uber本体もスキャンダルの嵐に見舞われ、ATGを雇うことを決めた経営陣は会社を去った。開発部門の一部をインドに移転しようとするほど技術に興味のない現CEOのDara Khosrowshahiの下で、コロナ禍の損失を受け、Uberは今の所「料理配達企業」となっている。Auroraの共同創業者のうち2人はCMU出身者であることもあり、ATG従業員たちにとっては、Auroraへの移籍は好ましい転換のように見える。

Auroraの経緯

Auroraは、WaymoとなったGoogleの自動運転車プロジェクトの最初のリーダーの一人であり、2000年代初頭から自律走行車開発の先駆者であるのChris Urmsonが共同設立した会社だ。

UrmsonはCMUでロボット工学の博士過程在籍中、2004年と2005年のDARPAグランドチャレンジと2007年のDARPAアーバンチャレンジに参加した彼のチームのロボット車両の開発において重要な役割を果たした。砂漠を横断して60マイルの模擬都市を自律的に走行することを競うDARPAアーバンチャレンジでは、歩行者がおらず、交通状態の複雑性が緩和された場所で、平均時速14マイルで走行したところ、CMUのUrmsonが率いるチームがトップに立った。

DARPAアーバンチャレンジで勝利した後、UrmsonはGoogleの自動運転車プロジェクトを率いるように打診された。Urmsonは約8年間、Googleの自動運転車プロジェクトを率いた。彼のリーダーシップの下、Googleの車は180万マイルのテスト走行を蓄積。Urmsonは2016年にGoogleを退社した。

その後、Urmsonは、TeslaのAutopilot部門の元ディレクターであるSterling Andersonと、Uberのautonomy and perception(自律性と知覚)チームの元リーダーであるDrew BagnellとともにAurora Innovationを設立した。Bagnellは2007年のDARPAアーバンチャレンジでUrmsonと同じチームに所属していた。同社はCMUのあるピッツバーグにオフィスを開設し、スタッフの約半分を置き、半分をカリフォルニア州パロアルトのオフィスに置いている。

LiDAR

Auroraが2019年5月にBlackmore Sensors and Analyticsの買収を発表した。防衛産業のために10年前に創業されたモンタナ州ボーズマンに本拠を置くBlackmoreは、ドップラーLiDARとしても知られる「周波数変調連続波(FMCW)」システムを使用している。

FMCW LiDARは、機械式ライダの代替として最初に開発されたもので、非常に小さな電力を使用して連続した光の波を放出する。2019年の初めにBlackmoreは、特に自律型車両向けに設計された、航続距離と速度の両方を検出できるドップラーライダシステムをリリースする。

このビデオでは、BlackmoreのFMCW LiDAR技術のテスト中に収集された3D画像を見ることができる。結果として得られる点群は、速度によって色分けされていrる。白い点は静止している物体(建物や道路など)、赤と黄色はセンサーから離れて移動している物体、青と緑はそれらに向かって移動している物体だ。

ブラックモアは、光ファイバ通信業界で実績のあるフォトニック・ハードウェアから事業を開始。信号処理は、高ダイナミックレンジ、単一光子感度、干渉耐性といったFMCWの利点を最大限に活用し、安全性、チップレベルのスケーラビリティ、全天候型性能を実現すると同社は主張している。Blackmoreの技術は、元Appleのエンジニアのペアによって2017年初頭に設立されたAevaの技術と競合している。

Image by Aurora Innovation.

*参考文献はリンクで示した。

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