バイトダンス、企業価値が2割減

世界最大の未上場スタートアップ企業のバイトダンスの企業価値は、一時の27.5兆ドルから2割減少した。北京の厳しい監視の下、政権の標的になるのを避け、創業者は会長を退任。待望の株式公開の不確実性が漂っている。

バイトダンス、企業価値が2割減
Based on photo by Solen Feyissa on Unsplash.

要点

世界最大の未上場スタートアップ企業のByteDanceの企業価値は最高値の4,250億ドルから2割減少した。北京の厳しい監視の下、政権の標的になるのを避け、創業者は会長を退任。待望の株式公開の不確実性が漂っている。


動画投稿アプリTikTokを運営する中国の北京字節跳動科技(ByteDance)の創業者の張一鳴が会長を辞任した。張一鳴は5月に最高経営責任者(CEO)を辞任し、今度は会長を辞任することになった。

ブルームバーグが引用した関係者によると、張に代わって、張の同級生にしてByteDanceの三番目の社員でもある梁汝波が会長に就任し、Susquehanna International GroupやSequoia Capital Chinaなどの投資家も加わった5人の取締役会が構成される。関係者によると、38歳の張は引き続き、中国のハイテク企業の長期的な戦略の策定に関与するという。

米テクノロジーメディアThe InformationのJuro Osawaの取材によると、ByteDanceの未上場株の価値は、中国での取り締まり後のセカンダリーセールで20%下落した。中国政府が独占禁止法やサイバーセキュリティ法の調査を相次いで行い、一部のインターネット企業に罰則を科したことで、中国の上場企業の株価が下落したことを反映しているという。

今年6月、中国のテクノロジーニュースサイト36Krによると、ByteDanceの企業価値が最新の取引で最高値の4,250億ドルを付けたと報じていた。

ByteDanceは2020年に飛躍の年を迎え、トランプ政権の圧力を受けながらも売上高が2倍以上の343億ドルに達した。営業損失は21億ドルで、TikTokやその中国版のDouyin、ニュースアグリゲーターのToutiao、ビデオエディターのCapCu、Volcano Engineなどの企業向けサービスなど、膨大なサービスで19億人のユーザーを記録した。また、教育技術やビデオゲームなどの事業も展開している。

36Krは同社の企業価値を3,888億〜4,000億ドルと推定。サウスチャイナ・モーニング・ポストは4月には企業価値が4,000億ドルに達したと報じていた。

ByteDanceの株主2名がThe Informationに語ったところによると、習近平国家主席が不動産からデータセキュリティまであらゆる分野で大規模な改革を推し進めている中国では、微妙な規制環境が続いていることから、少なくともあと1年は上場しないだろうし、2023年までIPOが実現しなくても驚かないという。また、これらの株主は、ByteDanceが将来的に上場する場合は、中国政府が海外での上場よりも安全性が高いと考えている香港での上場になるだろうと語っている。

今年6月、滴滴出行の米上場直後に中国国家インターネット情報弁公室(CAC)が同社のサイバーセキュリティ方に関する審査に乗り出し、株価が暴落した。

日本企業が直面する中国の法執行の不確実性
中国のデジタルデータに関連する法律の成立や最近の広範な業種に対する取り締まりの強化は、中国の経済成長に伴い相互依存を深めた日本企業にとってリスクとなっている。特に読みづらい法執行についての懸念は大きい。

中国政府は100万人以上の中国人ユーザーのデータを保有する中国企業は、米国などの海外市場に上場するために新たなサイバーセキュリティ審査を受けなければならないという規則案を発表した。

この規則により、多くの中国のスタートアップ企業が米国上場計画を中止しており、中国企業の米上場は事実上停止されていると言っていいだろう。

中国企業の米上場は瀕死
中国テクノロジー企業とウォール街の蜜月が終焉に向かう

Bytedanceの企業価値のベンチマークとなりうる快手(Kuaishou)の時価総額は、2月のIPO直後のピーク時には2,000億ドルを超えていたが、現在は70%以上も減少し、最近の復調の前は約580億ドルにまで減少した。

政府の厳しい管理下に置かれている

The InformationのJuro OsawaとShai Osterは8月に政府は4月、ByteDance社の中国法人のうち、同社の国内で最も人気のあるアプリ「Douyin」と「Toutiao」に関連する国内事業ライセンスを保有する法人の株式と取締役会の席をひそかに取得したと報じていた。

Osawaらが引用した中国の企業記録のオンラインデータベースによると、創業者のZhang YimingがByteDanceを立ち上げた2012年に設立された中国の企業であるBeijing ByteDance Technology社は、4月30日の取引で1%の株式を3つの国家機関が所有するWangTouZhongWen (Beijing) Technology社に売却した。この取引により、政府はBeijing ByteDance Technology社の取締役を任命することができるようになった。

Beijing ByteDance Technology社は、オンラインコンテンツやニュースに関連するいくつかのビジネスライセンスを保有しているという。これらのライセンスは、1日のアクティブユーザー数が6億人にのぼる中国のTikTokに相当する動画アプリ「Douyin」や、同じく数億人のユーザーを抱える中国で最も人気のあるニュースフィード「Toutiao」にとって重要なもの。DouyinとToutiaoは、中国での広告販売によってBytedanceの総収入の大部分を生み出している。

ByteDanceの複雑な企業構造(変動持分事業体 = VIE)のため、今回の取引で中国政府はTikTokの株式を取得していない。TikTokは、ケイマン諸島で設立された別のオフショア企業であるByteDance Ltd.の子会社だとOsawaらは記述している。

中国政府は、Bytedanceとの取引の1年前に、ナスダックに上場している中国のソーシャルメディア企業である微博(ウェイボー)の国内事業体の株式と取締役会の席を取得したという。

政府がアリババ傘下の微博を統制しようとしたきっかけは、アリババ幹部の不倫疑惑をめぐる投稿を、共産党の頭越しで「検閲」したことによって生じたと考えられている。

2020年春、アリババの最年少パートナーだったJiang Fanの妻が、モデルで著名なソーシャルメディアのインフルエンサーである別の女性に、夫に「手を出さないで」とWeiboで警告。共産党の機関紙「人民日報」のオンライン版に掲載された記事によると、微博は投稿を削除し、コメントを停止し、トレンドの検索トピックを削除した。しかし、この措置はネット上の騒ぎを収めるどころか、株主のアリババと微博の関係に世間の注目が集めることになった。

中国政府がメディア統制を強める背景:アリババ
電子商取引や金融で政府を凌駕しかねなかったアリババの力は静かにメディアにも浸透していた。業を煮やした習近平政権は、アリババとジャック・マーのメディアへの影響力を摘もうとしている。

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