iOSアップデートがFB広告に打撃

最近、Facebookの広告ビジネスが、AppleによるiOSでのデジタル広告の追跡に制限を課す措置によって、確実に打撃を受けていることが明らかになった。FBは迂回作を講じようと必死だ。

iOSアップデートがFB広告に打撃
Photo by Brett Jordan on Unsplash

※筆者の吉田は米系デジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版立ち上げ編集者で、このジャンルを本格的に日本に紹介し、啓蒙してきた人物。

要点

最近、Facebookの広告ビジネスが、AppleによるiOSでのデジタル広告の追跡に制限を課す措置によって、確実に打撃を受けていることが明らかになった。FBは迂回作を講じようと必死だ。


Facebook(FB)の製品マーケティング担当バイスプレジデントのグラハム・マッドは、iOSのアップデートに伴うターゲティングの制限により、広告主がFacebook上の広告が効果を発揮したかどうかを判断することが難しくなっていることを認めるブログ記事を公開した。その直後、FBの株価は4%下落した。

FBのCFOであるデビッド・ウェナーは、7月の決算発表の際に、iOSの変更による潜在的な影響を警告し、第3四半期には変更による影響が大きくなるだろうと述べていた。

Appleが攻め立てているのはターゲティングと効果測定というFBの広告商品の柱である。この2つにおいてFBは他のデジタル広告/オフライン広告に確かな優位を築いている。

Apple、プライバシーの大義名分で競合を責め立てる
Appleはプライバシー保護を強化する姿勢を鮮明にした。これは、iPhoneユーザーのニーズを満たす顧客満足のためのものであり、サードパーティの広告業者・マーケティングソフトウェア会社のビジネスをプラットフォームから押し出そうとする考えの発現でもある。

広告効果測定

マッドは、現在の効果検証手法は、iPhoneユーザーが広告をクリックして商品を購入したりアプリに登録したりする頻度を、15%ほど「過少報告」していると推定している。

それまで広告IDによって一意に行われていた広告のコンバージョン測定が、オプトアウトしたユーザーには適用できなくなっている。

ターゲティング広告を成立させるトラッキング(追跡)の仕組み
インターネット広告が利用者をターゲティングをするためには、ユーザー行動を追跡(トラッキング)しないといけません。現在Webでの追跡は主にCookie、Appでは識別子ベースの追跡が実行されています。

広告IDのオプトアウトがiOSに組み込まれて以来、FB広告においての効果測定の精度が低下していると広告代理店の従業員は言っている。「FBがいかに有効なのかを確かめるために、いまはGoogleアナリティクスを使っている」という。FBで広告を打ち、FBで効果を測定できるクローズトループが売りだったが、「ウォールドガーデン」(塀で囲まれた庭)に穴が空いてしまった。

Appleのアップデートにより、iPhoneおよびiPadユーザーは、アプリを最初に起動する際に、トラッキングを受けるかどうかを選択しなければならなくなった。特殊なトラッキング(追跡)機能は、Facebookやその他のアプリが、よりパーソナライズされた広告をユーザーに提供するのに役立ってきた。FacebookはAudience Networkと呼ばれる広告商品でアプリトラッキングの胴元をやってきた。

FBはAppleのポリシーを迂回しうるトラッキング手法を編み出そうとしている。マッドは「私たちは、処理する個人情報の量を最小限に抑えながら、パーソナライズされた広告の表示とその効果の測定を可能にする、プライバシーを向上させる新しい技術を開発するための複数年にわたる取り組みについて、楽観的に考えている」と書いている。

また、広告主を教育することで、広告主の損を軽減しFB広告の便益を維持しようともしている。その中にはデータの分析に一定の時間をかけることや、追加の測定ツールを使用することなどが含まれる。

コメント

私はFBの事業への影響は限定的だとみている。5月に以下のブログを書いたときと意見は変わらない。Audience Networkの寄与は同社の純収益の10%にも満たない。広告主や代理店の苦労は急増したようだが、これ以外の便利な代替手段がないため、FBはデジタル広告で儲け続けるだろう。

iOS 14.5のトラッキング許可はFacebookを殺さない
Appleのトラッキング許可に関する規定は、Facebookのデジタル広告の城の一角に損失を与えることは確かだ。しかし、本丸は揺るがないだろう。苦しくなるのは独立系の広告技術企業だ。期せずしてビッグテックがスモールプレイヤーを押し出すのを加速させている。

※筆者の吉田は米系デジタルマーケティングメディアDIGIDAYの日本版立ち上げ編集者で、このジャンルを本格的に日本に紹介し、啓蒙してきた人物。

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