7月2週のニュースまとめ

ジェフ・ベゾスの後任として、アンディ・ジャシーがAmazonの新CEOに就任。53歳のジャシーは就任に際して2億ドル以上の株式パッケージを手渡された。1997年にAmazon入社。2006年からAWSのCEOを務めてきた。

7月2週のニュースまとめ

米国・欧州

  1. ジェフ・ベゾスの後任として、アンディ・ジャシーがAmazonの新CEOに就任。53歳のジャシーは就任に際して2億ドル以上の株式パッケージを手渡された。1997年にAmazon入社。2006年からAWSのCEOを務めてきた。
  2. 米国防総省は6日、Amazonとマイクロソフトが争っていた100億ドル規模のクラウド契約を打ち切ると発表した。しかし、新たな契約を発表し、両方のクラウドサービスプロバイダーから提案を募り、両者が共同で受注する可能性が高いとしている。
  3. サムスン電子は7日、スマートフォンの販売台数が減少したにもかかわらず、堅調なチップ価格と需要を背景に、第2四半期の営業利益が53%増加し、市場予測を上回ったと発表した。チップに対する需要が急増し、在庫が枯渇していることを示している。
  4. 米国の数十州が7日、アルファベット傘下グーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。原告側は、アプリ配信サービスGoogle Playストアでの慣行を問題視している。
  5. コンサルティング会社セルリ・アソシエーツによると、2018~42年に高齢者世代が引き渡す資産は約70兆ドルに上る。そのうち約61兆ドルはミレニアル世代やジェネレーションX世代を中心とした相続人に渡り、残りは慈善事業に流れるという。
  6. ドナルド・トランプ前大統領は、アメリカ人に対する「不法な検閲」を主張する訴訟を提起し、Facebook, Twitter, GoogleのYouTube、そしてそれぞれの最高経営責任者を訴えた。
  7. Appleのプライバシー保護措置の影響がじわり。デジタル広告代理店フェイスブックに広告を出稿するティヌイティの顧客のうち、アンドロイド向けの支出額は5月の前年同月比46%増から6月には64%増に伸びが加速。一方で、iOS向けは5月の42%増から6月に25%増に減速した。
  8. 7日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨は「資産購入のペース減速を開始するための条件は、以前の会合時に予想されていたよりも幾分か早く達成されるとの見通しを、幾人かの参加者は示した」としている。緩和縮小が近づいている。
  9. 地域密着型ソーシャルメディアであるNextdoorは、特別目的買収会社(SPAC)との合併により、43億ドルの評価額で株式公開することに合意した。現金4億1,600万ドルとPIPE(公開企業の私募増資)の2億7,000万ドルを含む6億8,600万ドルを調達する見込み。
  10. ビットコインの採掘作業がニューヨークの湖を温めていると住民が苦情を沸騰させている。少なくとも8,000台の採掘用コンピュータに電力を供給するガス火力発電所が湖を「まるでホットタブに入っているような温かさ」にしているとのことだ。

中国・アジア

  1. 中国当局は、中国企業がタックスヘイブンを利用して米上場を果たすスキームを塞ぐため、規則の変更を進めているという。滴滴出行(Didi)が当局の静止を振り切って米上場したのがきっかけだ。
  2. 中国は、滴滴のライドヘイリングアプリのストアからの削除を命じた。この措置は、滴滴がニューヨークで株式を公開した数日後に取られた。WeChatとAlipayのみにプログラムからも排除されている。
  3. 中国当局は、滴滴が米国市場に上場する数週間前の段階で、新規株式公開(IPO)を延期し、ネットワークの安全性について社内で入念な調査を実施すべきとの方針を同社に伝えていたとWSJが報じた。
  4. 中国の独禁当局は7日、滴滴やアリババなどのインターネットプラットフォーム企業に罰金を科したと発表した。国家市場監督管理総局の声明によると、過去の22件のM&A案件が承認を得ていなかったとして、1件につき50万元(約850万円)の罰金を科した。
  5. 中国の独占禁止当局は、テンセントが国内の2大ゲームストリーミング企業であるHuyaとDouyuを合併する計画を白紙に戻した。データ会社のMobTech社は、2社のシェアが80%であると推定している。
  6. 電気自動車メーカーのXpengは、香港証券取引所への二重上場を実施した。Xpengは、1株165香港ドルで8,500万株のAクラス普通株式を発行し、140億2,000万香港ドル(約2,000億円)を調達した。
  7. 電気自動車メーカーLi Autoの車両を4月に購入したユーザーが、同社のアプリに「シートに付着した物質が水銀である可能性がある」とする3本の動画を投稿。同社は「いかなる生産段階においても有害な水銀は使用していない」と回答している。
  8. 世界的にヒットしたゲーム「PlayerUnknown's Battlegrounds」を開発した韓Krafton社は先週、金融規制当局からの圧力を受けてIPO価格を10%以上引き下げ、取引規模も4分の1近くに縮小した。テンセントが支援する同社は、韓国史上最大の50億ドルの資金調達を目指していた。
  9. ソフトバンクビジョンファンドが出資する韓国のEC最大手Coupang(クーパン)は、検索アルゴリズムを操作して、サプライヤーの製品よりも自社の製品を優先させた疑いで調査を受けている。同時に倉庫の火災事故に端を発する不買運動も起きている。
  10. 韓国は、大規模IT(情報技術)スタートアップ企業の中心地となりつつあるとWSJ。調査会社CBインサイツによると、韓国には現在、「ユニコーン」と呼ばれる評価額が10億ドル(約1107億円)以上の新興民間企業が10社ある。アジア太平洋地域では、人口がはるかに多い中国やインドに次ぐ3番目の数だ。

インド

  1. インドのスタートアップ企業が、2021年上半期にベンチャーキャピタルやプライベートエクイティから121億ドルを調達したことが、Venture Intelligenceがまとめたデータで明らかになった。
  2. インドのSaaS業界は、2030年までに評価額が1兆ドル、雇用者数が50万人に達し、同国の大規模なITサービス業界に匹敵する規模になる可能性があると、SaaSおよび製品企業の創業者で構成されるSaaSBoomi社のレポートが発表された。
  3. 料理宅配のZomato社は過去4年間で2番目に大きなインドのIPOになる可能性がある。IPOを従来の予定である7月19日から7月14日に前倒しする可能性があると言われている。
  4. 物流スタートアップのShiprocketは、PayPalのベンチャー投資部門であるPayPal Venturesと、既存の投資家であるBertelsmann India Investmentsが共同で実施した資金調達ラウンドで、4,130万ドルを確保した。
  5. インド準備銀行の最新の年次報告書によると、2021年は、金融システムにとって、サイバーセキュリティの不備に起因するリスクが「大幅に増加」した年となった。今年度は、銀行のオンラインチャネルやカードネットワークで2,545件の不正行為が報告され、被害額は119億ルピー(約174億円)に上った。
  6. 会社法審判所(National Company Law Tribunal)は今週、ホテルチェーンOyoが経営難の子会社の破産手続きを取り下げる申請をしたのを認めた。これにより、子会社の取引先のホテル経営者は、同社への請求を行えなくなった。未払い金は合計で20億ルピー(約30億円)を超えると言われている。

日本

  1. Googleがスタートアップ企業のpringの買収交渉を進めており、プリンの既存株主から全株式を200億~300億円で取得する方向で最終調整に入った、と日経新聞が報じた
  2. Zホールディングスは5日、傘下のヤフージャパンが日本での商標権などを1,785億円で取得すると発表した。米投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントからヤフーに関連する日本での商標権のほか、日本におけるブランド使用や技術の利用などの権利を取得する予定という。

Photo: "Andy Jassy"by jdlasica is licensed under CC BY 2.0

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By 吉田拓史