個人投資家が牽引するEV投資ブーム
個人投資家がEV関連企業の株価を急激に押上げている。イーロン・マスクの株売却をめぐるごたごたを横目に、RivianやLucidがミーム投資家の格好の投機対象となった。
要点
個人投資家がEV企業の株価を急激に押上げている。イーロン・マスクの株売却をめぐる「ごたごた」を横目に、RivianやLucidがミーム投資家の格好の投機対象となった。
Amazonとフォードが支援するピックアップトラックとSUVの電気自動車(EV)会社であるRivianの時価総額は、11月16日に株価が15%上昇して172ドルで終了した後、フォルクスワーゲン(VW)を上回った。17日、Rivianの株価は急落したものの、依然としてVWよりも時価総額は高い。
世界最大の自動車メーカーの1つであるVWは、昨年、97億ユーロの純利益を上げ、930万台の自動車を世界で販売した。これに対し、2009年に設立されたRivianは、収益を上げたことがない。上級職を元テスラのベテランで固めるものの、RivianがEVを量産できるかはまだ不透明だ。
テスラの元幹部ピーター・ローリンソンが経営する高級電気自動車メーカーLucidは、同社の最初の車の注文が17,000台に急増したことを発表した後、16日に24%上昇した。この株価上昇により、同社の時価総額は910億ドルとなり、フォードの時価総額を120億ドル上回った。17日の取引終了時点で、時価総額は850億ドルまで下げたが、依然としてフォードよりは上である。
16日、夏にSPACとの逆合併により上場して以来、初めて公表されたLucidの第3四半期の業績報告は、5億2,400万ドルの損失を計上した。これに対し、同四半期のフォードの調整後利益は30億ドルで、これは世界的なチップ不足により販売が17%の減少した後の数値である。
RivianとLucidは、EV関連の新興企業の中で上場が期待されてきた最初の企業であり、先月評価額が10億ドル以上に高騰したEVのパイオニアであるテスラの株価上昇を真似ることができるかどうかが試されている。
殺到する小口投資家
分析会社Vanda Researchがまとめたデータによると、個人投資家は先週、EVメーカーのRivian、Lucid、Ford Motorの3社の株式を3億7800万ドル購入した。これら3社への需要は、2週間前に史上最高値を記録して以来、株価が約15%も急落しているテスラ社の株式購入を上回るものだった。
特にRivianは株式公開以来、注目されており、株価は一時、IPO価格の78ドルの倍になった。
EVメーカーや、EVgoのような充電ステーションを作る企業に対する需要は、フィデリティ証券のプラットフォームでは明らかで、最近のセッションでのトップバイの多くがこの業界に関わるものだったという。15日に最も買われた4銘柄は、Rivian、Tesla、Gores Guggenheim(EVメーカーのPolestarとの合併が決まっている特別目的買収会社 = SPAC)、Lucidだった。
このような需要の高まりは、今年初めに中国企業のNioやXPengを支持していた個人投資家のEVへの関心が、移転しつつあることを示している。
個人投資家からのフローの増加は、電気自動車の分野を超えて中堅のEV関連銘柄にも広がり、Pioneer Power Solutions、EVgo、ChargePoint Holdingsは、Fidelityのプラットフォームで需要が増加している。テスラはここ数日、最も買われている資産であることに変わりはないが、Lucidとフォードに対する需要は、ここ数週間で最も買われている銘柄の一つとなっているという。
テスラが苦戦しているというわけではない。同社の株価は今年に入ってから50%近く上昇し、火曜日の終値は4%高だった。違いは、Lucidが4倍になり、フォードが2倍になったことだ。最近のテスラ株の15%下落は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の株式売却が一因となっている。他方で、フォードが20年ぶりの高値に急騰し、Rivianは輝かしいデビューにより自動車業界のトップ5企業の1つとなった。
デイトレーディングの世界では、AMCのようなミーム株に代わって、EV関連企業が買いの対象となっている。実際、個人投資家が月曜日にAMCを純売したのは、今年に入って数回目のことであり、およそ220万ドル相当の株式を売却した。