ソフトバンク対クレディ・スイス裁判の開戦が近づいている

クレディはソフトバンクGはグリーンシルとカテラの両方に出資しており、ソフトバンクがクレディに隠したままあらゆる資金回収の可能性を排除する取引を「画策した」と訴えている。

吉田拓史

クレディ・スイスはグリーンシル問題でソフトバンクGと数ヶ月にわたって対立した後、かつての顧客を訴えることを選択したと、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)が先週報じた。

FTによると、クレディのCEOトーマス・ゴットスタインは9月に、同銀行のアジア地域のトップであるヘルマン・シトハンとともにソフトバンクG CEOの孫正義と会った。UBSの元幹部で、グリーンシルの資金を扱った問題のある資産運用部門の運営に抜擢されたウルリッヒ・コーナーも同席していたという。

クレディはソフトバンクGから4億4,000万ドルを回収しようとしている。これは、投資銀行業務に加えて、裕福な孫正義を個人的な顧客としていた関係が悪化したことを意味している。この紛争には、ソフトバンクGが支援していたサプライチェーン・ファイナンス会社であるグリーンシルが関与しており、この会社はクレディの101億ドル規模のファンドの破綻の中心的な要因となっている。

クレディは、孫のカテラに関する説明と、2年前のグリーンシルCEOのレックス・グリーンシルの電子メールとの間にいわゆる重要な矛盾があったと主張していると、裁判所の文書を引用してFTは報じた。具体的には、クレディは、孫がグリーンシルに対しカテラへの緊急融資を承認したことを示唆している。

カテラは今は亡き建設会社で、グリーンシルの元顧客であり、クレディの最も厄介な債務者3社のうちの1社。クレディは、グリーンシル債権に投じた資金の70%以上を回収している。

ソフトバンクGの運営するビジョンファンドは、カテラの筆頭株主であり、破綻直前のレスキューファイナンスの結果、ほぼすべての同社株式を保有するようになっていた。ソフトバンクGはカテラの「状況」に関して深い知識があったのは間違いなさそうだ。

クレディのファンドは、グリーンシルがカテラに貸し付けた債権を担保とした4億4,000万ドルの債券を保有していたが、昨年カテラが経営難に陥った際、グリーンシルはその債権を放棄した。

クレディはサンフランシスコの連邦裁判所に提出した書類の中で、ソフトバンクGはグリーンシルとカテラの両方に出資しており、ソフトバンクGがクレディに重要な情報を隠したままあらゆる資金回収の可能性を排除する取引を「画策した」と訴えている。

クレディは「孫はカテラの危機的な状況を知りながら、グリーンシルに融資を要求した。グリーンシルがその債権を放棄したことで、証券化された債権を買ったクレディの顧客が欺かれ損失を被った」という論理を、将来的な法廷闘争のために用意しているとみられる。

1月7日、サンフランシスコの米連邦地方裁判所判事は、ソフトバンクのカリフォルニア州の関連会社であるソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ(SBIA)への召喚状の発行を求めるクレディ・スイス社の要求を認めた

ソフトバンクはブルームバーグに対し電子メールで声明を発表し、「これは、グリーンシルでの自分たちの損失の責任を転嫁しようとするメリットのない試みを裏付けるための、クレディ・スイスによる必死の漁猟にすぎない」と述べている。

クレディは昨年5月、ソフトバンクGとの関係を断ち切り、日本企業との新規取引を一切行わないことを決定した。これは、グリーンシルが崩壊した後、ソフトバンクGの利益相反疑惑が浮上したためだとされている。

クレディのファンドは、ロンドンで弁護士事務所を雇っており、最終的に英国でソフトバンクを提訴するとみられている。クレディにとって、今回の裁判がいかに大きな問題であるかを物語っている。資産運用会社が裁判所を通じて顧客を追求することは極めて稀だ。クレディは現在、サウジアラビアの顧客との間で注目を集める別の紛争を抱えている。

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ビジョンファンドの窮地
ビジョンファンドの苦境を示唆するシグナルが大量に発せられている。直近の低調な決算、ポートフォリオ企業の価値縮小、出資者への多額の分配金負担、積み上げられる負債、幹部の離職などだ。