テンセントが最大出資先を“自主精算”
Photo by Tencent.

テンセントが最大出資先を“自主精算”

中国内外に莫大な出資先ネットワークを持つテンセントは、突如国内最大の投資先の持ち分を株主に還元し自らネットワークの枝切りを始めた。独占禁止の斧を振り上げ続けている習近平政権の意を汲んだ動きとの憶測が広まっている。

要点

中国内外に莫大な出資先ネットワークを持つテンセントは、突如国内最大の投資先の持ち分を株主に還元し自らネットワークの枝切りを始めた。独占禁止の斧を振り上げ続けている習近平政権の意を汲んだ動きとの憶測が広まっている。


香港証券取引所に提出された書類によると、テンセントはJDのクラスA株4億5730万株を配当とする予定で、これはテンセントの総保有株数の約86.4%、JDの総発行株数の約15%に相当する。1月3日の終値で、今回の分配案の株式は1,263億香港ドル(約1兆8,671億円)の価値がある。JDの約17%を支配しているテンセントは、この配付後、電子商取引企業の株式の約2.3%を保有することになると、JDは別の声明で明らかにしている。

今回の買収は、テンセントが海外での成長やメタバースなどの新しい分野に注力するために、中国の大手ハイテク企業を含む数多くの企業の保有資産を縮小する準備をしているのではないかという憶測を呼んだ。JDは、電子商取引大手拼多多、配車大手のDidi Global Inc.、フードデリバリー大手の美団点評など、テンセントが支援する企業の1つで、WeChatの10億人以上のユーザーが生み出す膨大なトラフィックのおかげで、それぞれの分野を支配するようになった。

この特別配当は、急速な成長と投資に依存してきた中国のハイテク企業が投資家を満足させるために行った、過去最大の株主へのプレゼントのひとつとなるだろう。テンセントの戦略は、開発段階の企業に出資し、その企業が将来的に自力で資金調達できるようになった時点で投資を終了することだと、テンセントは明らかにしている。

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