
米FRBの新決済基盤はクレジットカードを淘汰するか
デジタル決済の世界では、先進国はレガシーシステムと既得権益でがんじがらめになる一方、新興国がリープフロッグしデファクトスタンダードを作った。米国で新たに発足した決済基盤FedNowは、レガシーな銀行間決済を換装し、クレジットカードの独占を打ち砕くのか。
デジタル決済の世界では、先進国はレガシーシステムと既得権益でがんじがらめになる一方、新興国がリープフロッグしデファクトスタンダードを作った。米国で新たに発足した決済基盤FedNowは、クレジットカードの独占を打ち砕くのか。
米連邦準備制度理事会(FRB)は即時決済プラットフォーム「FedNow」を正式に発足させた。FedNowは、金融機関間の即時決済を処理するための新システムで、早期に導入した35の銀行と信用組合に展開される。FRBの目標は、最終的には全国9,000以上の銀行と信用組合を接続し、古い決済システムを捨てて、米国のすべての金融機関間でより迅速な決済処理をサポートすることである。
個人や企業にとって、給与を即座に受け取れるようになったり、企業が請求書の支払いを受けた際に、数日間待たされることがなく、即座に資金を利用できるようになるなどの利点が生まれる、とパウエル議長は述べた。
これまでに約50の金融機関、サービス・プロバイダが新しいネットワークで送金を行うために必要な正式なテストと認証を完了したという。現在、FedNowはデフォルトの取引限度額を10万ドルに設定しているが、各銀行は50万ドルまで調整できるとフォーブスは報じている。

FedNowは銀行間(場合によっては同じ銀行の口座間)の送金を仲介し、数秒でトランザクションを完了する。米国の大手銀行によって形成された主流のプライベート・ネットワークは、取引の完了までに1〜3日要する。この決済ネットワークは、2019年にFRBがシステム構築の計画を発表して以来、長い時間をかけて実現に至った。
JPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどの金融大手が所有するクリアリングハウスは、2017年にRTPネットワークと呼ばれる独自のシステムを導入した。現在350以上の金融機関をネットワークに持つRTPは、第2四半期に約290億ドルの決済を処理した。これは前年同期比で18%の増加ではあるが、銀行やその他の金融機関が電子送金に使用するもうひとつのシステムであるAutomated Clearing House(ACH)ネットワークは、処理額が約20兆ドルである。ACH決済は通常、処理完了までに1~3営業日かかる。