Appleは現地生産拡大の一環としてインドの労働法改正を求めており、中国からiPhoneの組み立てを奪おうと躍起になっている地方政府はその要求に屈している。
10月7日午前11時15分、米国の当局者が「連邦官報」と呼ばれるウェブサイトに139ページに及ぶ規制を発表した。台北から南京まで、東アジア全域で半導体の経営者たちはパニックに陥った。米国政府は、これまで米国を通過してきたすべてのコードや機械部品、そして地球上のすべての米国人の行動に対して管轄権を主張した。中国向けの高度なコンピューター・チップを作るために米国のコード、装置、人材を使っている企業は、法律違反になることを覚悟で止めなければならなかったのだ。 これは、米国お気に入りの新しい経済兵器、外国直接製品規則(FDPR)の一撃であった。ドルの使用を妨げることによって損害を与えるために、ドルの普遍性を武器とする制裁もあるが、FDPRは米国のテクノロジーの普遍性を武器にしようとするものだ。台湾のチップメーカーである台湾積体電路製造(TSMC)は、中国の顧客への高度なチップの販売を直ちに停止した。
韓国のサムスン電子は今年の世界のスマートフォン市場が昨年に続き収縮する兆候がみられる中でも、高級機種需要に支えられ「ギャラクシー」の旗艦モデルの今年の販売台数が2桁の伸びになると期待している。
インドの製造業振興は遅々として進んでいない。iPhoneの生産の一部が中国から移転しても、投資先として魅力的であるとは必ずしも言えない。インドは今の所、「次の中国」にはなりえないだろう。
書類上では、インドがグローバルメーカーを誘致するチャンスはバラ色に見える。しかし、専門家は、低迷する製造業を改善するための持続的な利益はまだ道半ばであると警告している。
Appleの中国サプライヤー12社以上がインドでの事業拡大の初期許可を得ており、中国以外の組み立てネットワークの多様化を目指すハイテク大手の取り組みを後押ししている。
エレクトロニクス産業の中核的商品であるiPhoneの生産において、Appleが中国依存を分散しようとする機運が高まっている。習近平主席のゼロコロナ政策がインドとベトナムに絶好の機会を与えるかもしれない。
Appleはここ数週間で、長い間支配的だった中国以外に生産をシフトする計画を加速させていると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、関係者を引用して報じている。
Appleの売上の半分を占めるiPhoneの生産が、中国政府のゼロコロナ政策の影響を受け、低迷を強いられている。大手テクノロジー企業の中で最も安定的だと考えられていたAppleもまた、世界経済の荒波に巻き込まれた。
ファーウェイはかつて、止められない存在に見えた。1987年に中国南部の深セン市のアパートで電話交換機を売り始めた中国のテクノロジー企業は、2012年にスウェーデンのエリクソンを抜いて世界最大の通信機器メーカーとなった。2020年にはエリクソンとノキア(フィンランド)の2大ライバルに匹敵する30%の市場シェアを獲得した。また、同年にはサムスンを抜いてスマートフォンの最大手メーカーとなった。また、急成長しているソフトウェアやクラウドコンピューティングの事業は、アメリカのIBMやオラクルと競合し始めている。
チェンナイからベンガルールへ向かう埃っぽい道路の脇に、3つの巨大な無名のビルが建っている。交通の喧噪から離れたこの建物は、台湾のメーカー、Foxconnが運営するハイテク施設だ。少し離れたところには、同じく台湾のハイテク企業、ペガトロンが広大な新工場を建てている。フィンランドのガジェット・メーカー、サルコンプもこの近くにある。さらに西に進むと、インドのコングロマリット、タタの500エーカー(約203ヘクタール)に及ぶ工場がある。これらの施設に共通しているのは、「果物の会社」と呼ばれる、要求が厳しく秘密主義の米国企業である。
サムスン電子は、サプライチェーンの危機と地政学的緊張の高まりが世界最大のチップメーカーを揺るがす中、李在鎔氏を韓国最大企業の執行会長に任命し、待望の昇格を果たした。