プライバシーパラドックス 人は無料製品に個人情報を引き渡す

人々が、自分のプライバシーが保守されることを望むにも関わらず、実際には無料のインターネット製品を使用し、みずからプライバシーを差し出している状況を「プライバシーパラドックス」と呼びます。

プライバシーパラドックス 人は無料製品に個人情報を引き渡す

人々が、プライバシーが保守されることを望むにも関わらず、実際には無料のインターネット製品を使用し、みずからプライバシーを差し出している状況を「プライバシーパラドックス」と形容します。

多くの調査は、消費者は自分が残したプライバシーを保護することに注意を払うが、オンラインで収集されている大量のデータを削除するための手段を実際に講じる人はほとんどいない、と示しています。

なぜ人はこのような矛盾した行動をするのかについては、様々な競合する説明がありますが、ほとんどの専門家は結論を出すことは難しいと考えています。ただし、主に3つの「傾向」が指摘されています。

1つ目は選択肢が限られている(友人や家族の大部分がいるソーシャルネットワークが限定されている)ことです。無料サービスを提供する企業の一部は非常に強力であるため、サービスを使用する以外に選択肢がありません。ソーシャルメディア等のインターネット製品にはネットワーク効果(ネットワーク外部性)が働くとされており、製品は不当な優位性を常に保持している状況です。あなたの友人や家族がFacebookを使っているとき、あなたはMixiを使おうとはしないでしょう。

現実には、データを収集するビッグテックのサービスは今や大規模で日常生活に不可欠です。Gizmodoのカシミール・ヒルは、Google、Facebook、Microsoft、Appleなどの主要企業を日常生活から切り離すことはほぼ不可能だと自分で実験して記しています。

2つ目はコストです。個人データ(およびデータにアクセスできる人)を完全に保護することは非常に労力とお金がかかります。一般の人々にとって現実的ではありません。大半の人々はアプリをダウンロードするたびに1万字のプライバシーポリシーを読もうとはしません。サービスごとにプライバシー設定の密林の奥深くまで潜り、それを変更しようともしません。マーク・ザッカーバーグのように世界で最も住宅価格が高騰する界隈で、自宅の近所の家を4件買って、物理的な監視を防ごうとするには、あなたはお金をたくさん持っていません。

研究者は、人々がさまざまな形態のプライバシーにどれだけの金銭的価値を付けているかを正確に把握しようと調査をしています。基本的に彼らは自らのプライバシーを非常に安く見積もる傾向があります。これらのプライバシーの価格は、FacebookやGoogleのような会社がユーザーの個人データを不注意に扱った場合、どれだけ罰金を科せばよいかを考える有望な基準になると考えられています。

2019年の夏にJournal of Consumer Policyで発表された調査によると、アメリカ人は、収集した企業からすべての個人データを削除するために、月に平均5ドルを支払う意思があると述べています。2016年の別の調査によると、人々は自分のブラウザーの履歴はビッグマックと同等の価値があると考えていることが示唆されています。

これらは、Netflixのサブスクリプションの半分以下の価格であり、テクノロジー企業、マーケティング担当者、データブローカーがこの情報から抽出する金銭価値よりも明らかに低いです。たとえば、Facebookだけで、北米のユーザー1人あたり年間約30ドル、または1か月あたり約2.50ドルの売上があります。もちろん、Facebookはあなたのオンライン行動を追跡している数え切れないほどの企業の1つにすぎません。が、Facebookはあなたの情報を最も高く換金できるプレイヤーの一人であり、他のプレイヤーはもっと低い価格であなたの個人データを換金します。

もっと「ラディカル」な意見も存在します。Microsoft Researchの経済学者Glen Wyleはデータを「労働」として扱い、大手テクノロジー企業からデータを発現する人に対価が支払われるべきだと主張しています。

3つ目は、「人は無料のものに正しい判断力を持たない」ことです。人は様々な選択肢を与えられた際、コストと利益の差が最も大きい選択肢を選ぶと想定されていました。しかし、Shampan'er と Arielyの研究によると、無料製品に関する決定は、他と異なりました。ゼロ価格の条件では、劇的に多くの参加者が安価なオプションを選択し、劇的に少ない参加者はより高価なオプションを選択します。つまり、タダと聞くと、コストとリターンという見方を放棄して、飛びつく傾向がある、ということです。人は「只より高いものはない」とは考えたりはしないようです。

もちろん、数は比較的少ないものの、一部の消費者は広告ブロッカー、仮想プライベートネットワーク、暗号化などのプライバシーに配慮したツールを使用し始めています。今後、人々の行動がどのように変わるかは興味深いです。

参考文献

ブルース・シュナイアー.超監視社会: 私たちのデータはどこまで見られているのか?.2016.

Kai Burkhardt. The privacy paradox is a privacy dilemma. 24. Aug. 2018. Firefox Internet Citizen.

Kashmir Hill. Life Without the Tech Giants. 22. Jan. 2019.

Luvai F. Motiwalla. Xiao-Bai Li. Unveiling consumer’s privacy paradox behaviour in an economic exchange. 2016.

Angela G. Winegar. Cass R. Sunstein. How Much Is Data Privacy Worth? A Preliminary Investigation. 2019.

Kristina Shampan’er. Dan Ariely. Zero as a special price: The true value of free products. 2007.

Photo by vignesh kumar (CC2.0)

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