
中国製EV、欧州市場へ急進撃: 地元勢は価格競争力の差を縮められるか
ドイツで行われたモーターショーで、中国EV勢が展示の大半を占めた。中国勢の襲来はテスラとともに欧州のEV化の触媒になっているが、ウクライナ戦争の影響に苦しむ地元自動車産業にとっては、泣きっ面に蜂でもある。
ドイツで行われたモーターショーで、中国EV勢が展示の大半を占めた。中国勢の襲来はテスラとともに欧州のEV化の触媒になっているが、ウクライナ戦争の影響に苦しむ地元自動車産業にとっては、泣きっ面に蜂でもある。
ドイツのミュンヘンで行われた国際モーターショーで、2021年比で2倍の中国自動車メーカーが出展し、会場面積のほぼ3分の2を占めた。独国営放送ドイチェ・ヴェレ(DW)は、この様子を描き、こう警鐘を鳴らした。中国の現地ブランド、BYDやNioなどは、同国最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲン(VW)の製品よりも価格競争力があり、優れていると評価され、VWの市場における地位に圧力をかけている、と。
これは日本車が長く守った領土を中国のEVに奪われるシナリオを想起させた、今春のタイと上海における国際展示会のドイツ版のようなものだろう。
欧州の自動車業界はロシアのウクライナ侵攻後のエネルギーコスト上昇に悩み、欧州連合(EU)の販売台数はインフレと金利上昇の影響でコロナ以前の水準を20%下回っている。同時に、中国の低価格車メーカーとの競争が高まっている。特に、VWの競合であるBYDは昨年、自国市場でVWを上回る販売台数を記録し、市場リーダーの座を奪取した。
ブルームバーグが引用した中国自動車技術研究センター(CATARC)のデータによると、BYDや吉利汽車のEVに牽引され、中国メーカーは7月に初めて同国の自動車販売台数の50%以上を占めた。海外勢はすべからく押し出されようとしている。
中国本土と比べると欧州はまだEV市場としては小さいが、2035年までにガソリン車やディーゼル車の販売が禁止されると予想されるなど、欧州がEV中心の未来へとシフトしていくとみられ、中国メーカーの世界戦略の試金石となっている。中国メーカーは先進的な技術と競争力のあるバッテリーで市場を席巻するチャンスを見出している。