ファーウェイと中華半導体の苦境

今回の米国のファーウェイに対する攻撃は本気。日米貿易摩擦のときと同様、徹底的に中国を苦しめにいくはずだ。中国の半導体業界は、米国とは完全に分離していく。オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)のRISC-Vが漁夫の利を得る可能性がある。

ファーウェイと中華半導体の苦境

Axion Podcastは、テクノロジー業界の最新トレンドを、元DIGIDAY編集者で起業家の吉田と280万会員の写真を扱うベンチャーの事業統括者の平田でディスカッションする対話形式のラジオです。Apple PodcastSpotifyGoogle PodcastAnchorでも聴取可能です。ご登録お待ちしております。

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今回のポッドキャストはこのニュースレターを元にディスカッションしています。

米国の”水攻め”がHuaweiに大打撃
ハイエンドスマホ向けのチップが9月で供給停止

要点

  • 今回の米国のファーウェイに対する攻撃は本気。日米貿易摩擦のときと同様、徹底的に中国を苦しめにいくはずだ。
  • 中国の半導体業界は、米国とは完全に分離していく。オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)のRISC-Vが漁夫の利を得る可能性がある。今回の動きでArmからRISC-Vへの移行が加速する可能性が高く、Armにとっては損。Nvidiaとの買収交渉がどこに向かうのか。
  • RISC-V駆動の半導体は、IoTや機械学習、スマートシティ等の用途において、特にエッジにおける需要に対して応えるようになるだろう。
  • 中国の半導体業界が欧米、台湾に追いつくには数年〜10年かかるだろう。

もっと詳しく知りたい人はリンクを辿ってみてください

  1. 米商務省、ファーウェイ関連会社38社をリストに追加。米商務省、ファーウェイ関連会社38社をリストに追加米商務省産業安全保障局(BIS)は17日(現地時間)、Huaweiとその非米国関連会社による、米国の技術とソフトウェアから国内外で生産された品目へのアクセスをさらに制限した、と発表した。
  1. 米国の"水攻め"がHuaweiに大打撃。Huaweiは、自社開発のフラッグシップチップセット「Kirin」の供給が9月15日以降に停止されることを確認した、と財新が報じた。それは、この秋に発売開始するHuaweiの新しいハイエンド「Mate40」は、同社の最先端のプロセッサを搭載した最後のスマートフォンになることを意味する。
  2. SMICは、中国最大のファウンドリで、主に国内の顧客向けに信頼性の高いミッドレンジチップを製造している。しかし、その製造技術は最先端から数年遅れている。TSMCは2018年から7ナノメートルプロセスのチップの生産を開始し、今年から5ナノメートルプロセスを採用しているが、SMICは14ナノメートルプロセスを実装したばかりだ。Huaweiの最先端のKirinチップなど、国内の多くのニーズを供給するのに十分ではないとされている。
  3. 中国政府が支援する2つのチッププロジェクトでは、昨年から世界有数のチップ製造会社である台湾半導体製造有限公司から100人以上のベテラン技術者や管理職を採用している。
  4. 中国の通信会社Huaweiに対する米国の制裁が高まる中、Huaweiのファブレス半導体製造子会社ハイシリコンは、技術者を大量に流出させている。
  5. TSMCなどの台湾のファウンドリとの明確な差を埋める手段として、中国はクラッキングによる知的財産権の盗難に手を出しているという調査内容が、台湾のセキュリティ企業からもたらされ、波紋を広げている。

※訂正:吉田がUC Browserをシャオミーのブラウザと説明しているが、正しくはアリババの子会社が提供している。

Photo: "Mobile World Congress 2017" by Janitors is licensed under CC BY 2.0

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OpenAI、法人向け拡大を企図 日本支社開設を発表

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OpenAIは東京オフィスで、日本での採用、法人セールス、カスタマーサポートなどを順次開始する予定。日本企業向けに最適化されたGPT-4カスタムモデルの提供を見込む。日本での拠点設立は、政官の積極的な姿勢や法体系が寄与した可能性がある。OpenAIは法人顧客の獲得に注力しており、世界各地で大手企業向けにイベントを開催するなど営業活動を強化。

By 吉田拓史
アドビ、日本語バリアブルフォント「百千鳥」発表  往年のタイポグラフィー技法をデジタルで再現

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アドビは4月10日、日本語のバリアブルフォント「百千鳥」を発表した。レトロ調の手書き風フォントで、太さ(ウェイト)の軸に加えて、字幅(ワイズ)の軸を組み込んだ初の日本語バリアブルフォント。近年のレトロブームを汲み、デザイン現場の様々な要望に応えることが期待されている。

By 吉田拓史