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日産の投資で英国の自動車産業が栄光を取り戻すわけではない[英エコノミスト]

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日産の投資で英国の自動車産業が栄光を取り戻すわけではない[英エコノミスト]

リシ・スナック首相とジェレミー・ハント財務相の笑顔が、それぞれのストーリーを物語っていた。2人は11月24日、日産の内田誠社長とともにサンダーランドを訪れ、日本の自動車会社が電気自動車(EV)3モデルを製造するため、サンダーランドにバッテリー工場を建設すると発表した。日産のコミットメントは、英国の自動車部門にとって心強いニュースの数々に続くものだ。しかし、近年急速に後退している英国の自動車産業にとって、どの程度の笑顔が必要なのだろうか? 2017年9月までの1年間で、英国の工場は170万台の自動車を生産した。2023年9月までの12ヵ月では、その半分程度になる。英国には、国内のエンジニアリング能力、柔軟な労働法、豊富なクリーンエネルギーの供給など、まだ多くの強みがある。しかし、英国の自動車産業が立ち直るためには、外資系の大手自動車会社が、自動車産業が急速に電動化する中で、英国がまだ投資先として適していると確信する必要がある。 2030年から2035年までの化石燃料自動車の新車販売禁止を延期するという政府の決定が、EVへの投資を抑制するのではないかという懸念は、2030

By エコノミスト(英国)
ドイツが過度の自動車産業依存を再考する:もしもフォルクスワーゲンが「第二のノキア」になったら[英エコノミスト]

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ドイツが過度の自動車産業依存を再考する:もしもフォルクスワーゲンが「第二のノキア」になったら[英エコノミスト]

「フォルクスワーゲン(VW)ブランドの未来がかかっている」と7月上旬、大衆車ブランドの新ボスであるトーマス・シェーファーが経営陣を前にプレゼンテーションを行った際、彼はその問題点を包み隠さず語った。コスト高、需要の落ち込み、競争の激化......。2011年、当時世界最大の携帯電話メーカーであったノキアのトップに就任した直後、スティーブン・イーロップは自社を「燃え盛るプラットフォーム」に例えた。 ノキアの場合、警鐘は役に立たなかった。数年後、ノキアは解体され、携帯電話事業はマイクロソフトに売却された。強大なVW、その強大な親会社で9つのブランドを所有するVWグループ、あるいはドイツで最も強大な産業全体が、果たして同じような運命をたどるのだろうか?もしそうだとしたら、欧州最大の経済にとってそれは何を意味するのだろうか? 自動車産業の差し迫った崩壊はありそうにない。2022年、VWは売上高で世界最大の自動車メーカーとなり、最大のブランドを支える潤沢な資金を手に入れた。7月27日には、2023年上半期の売上高が前年同期比18%増の1,560億ユーロ(約24.4兆円)になったと発表し

By エコノミスト(英国)
最少の車種でEV市場を制する? テスラの戦略の有効性について[英エコノミスト]

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最少の車種でEV市場を制する? テスラの戦略の有効性について[英エコノミスト]

2011年、テスラは「21世紀で最も魅力的な自動車会社になると同時に、世界のEVへの移行を加速させる」という目標を掲げた。当時は、これを煎じ詰めるのは簡単だった。2003年の創業以来8年間で、同社が製造したEVはわずか1,650台だった。最初の大ヒット商品であるモデルSは、まだ道路を走っていなかった。 今日、2008年以来自動車メーカーのボスであるイーロン・マスクがその目標を達成していないと主張するのは、ほとんど狂気の沙汰に等しい。彼の会社は、参入障壁の高いこの業界では珍しい反乱分子であり、破竹の勢いで成長してきた。2023年第1四半期、テスラのミニSUV「モデルY」は世界一のベストセラーとなった。第2四半期には合計46万6,000台を販売し、アナリストの予測を上回った(図表1参照)。2022年の130万台から今年は200万台を販売するというマスクの約束は、もはや絵空事とは思えない。7月15日には、角ばったレトロフューチャーなピックアップ、サイバートラックの第1号車が生産ラインから出荷された。テスラはドイツ工場の拡張計画を発表したばかりで、年産100万台への倍増を目指している。

By エコノミスト(英国)