本記事はインドの驚異的なデジタル経済の成長とそのふるまいを記述した『【特集】デジタル・インディア 13億デジタル経済の熱狂』 の連載のひとつです。

【連載目次】

特集の序文はこちら

  1. インドのデジタル経済: 13億人が秘める異常な潜在性
  2. インディアスタック INDIA STACK:全国民のデジタル化を支える政府基盤API
  3. Aadhaar 世界最大のデジタルIDプログラム
  4. 政府主導の独自基盤「UPI」がゲームを変えた インドのモバイル決済
  5. Reliance Jioによるモバイルインターネット革命の経緯
  6. インドのスタートアップエコシステムの急成長と多様化
  7. 戦争再び インドの電子商取引
  8. SPOTIFYのインド市場ローカライズ 基本戦術化した価格戦略と軽量アプリ

インドではこの3年の間でモバイルインターネットの革命が起きました。革命の結果、このようなことが起きました。

  • インドのモバイルユーザーは、毎月平均8.3 GBのデータを消費しかなり高い水準にあります。中国のモバイルユーザーは5.5 GBであり、高度なデジタル経済である韓国では8.0〜8.5 GBの範囲です。インド人は、2018年に12億の携帯電話のサブスクリプションを保有し、120億を超えるアプリをダウンロードしました
  • モバイルデータ費用は2013年以降95%以上減少しました。1GBのコストは、2013年の1人あたりGDP(月間)の9.8%(約12.45ドル)から2017年には0.37%(数セントに相当)まで大幅に減少しました。 固定回線の平均ダウンロード速度は2014年から2017年の間に4倍になりました。その結果、ユーザーあたりの月間モバイルデータ消費量は年間152%で増加しました

モバイルインターネット革命の引き金を引いたのが「Reliance Jio」という史上最もアグレッシブだった通信キャリアの存在でした。では2016年9月から始める革命のタイムラインを追ってみましょう。

2016年9月;Jioが営業を開始

インド最大財閥リライアンス会長Mukesh Ambaniの4Gのみ通信キャリアサービスであるReliance Jioは、2016年9月5日にインドで操業を開始しました。 リライアンスはこれに先立ち、参入以前の7年間に渡り250億ドルを設備投資し、インド国内各地にアンテナを立て続けていました。そのLTEネットワークは、2015年12月28日から従業員によってテストされ、その後の通信開始によりインドをデータ集約型の国に変えました。 Jioの創設はAmbaniがアジアで最も裕福な男性になるのにも役立っています。

Jioはゲームチェンジャーです。2015年〜2016年前半、インドの通信キャリア上位3社Bharti Aritel、Vodafone、Ideaは市場の60%を占有していました。通信キャリア事業は収益が拡大する前段階で膨大な設備投資額を費やすことと、許認可事業、という2つの性質から寡占市場になりやすいと考えられます。インドもこの上位3社を中心とした寡占市場に向かうと考えられていました。

2017年2月:Jioが契約者1億人に到達

Reliance Jioは2016年9月5日に営業を開始し、創業5か月以内に1億人の加入者に達しました。これは通信サービスプロバイダーにとって史上最速の成長であり、JioはFacebook、Twitterまたはその他のソーシャルメディアよりも急速に成長したと説明しています。 同社は、営業開始から3か月間は無料のデータと音声通話を提供することで事業を開始し、その後その無料プランをさらに3か月追加しました。半年の使い放題の存在を知った人々は、行列を作ってJio SIMカードを入手しJioのネットワークにアクセスしたのです。多くの人にとって最初の「初めてのインターネット」だったのです。

2017年4月:有料プランへの移行とPrimeメンバーシップ

Reliance Jioは2016年9月から2017年3月まで無料サービスを実行し、4月に有料モデルに切り替えました。 3月末に、99ルピー(約1.5ドル)の年会費を支払うことにより、Primeメンバーシップに加入する必要があることを発表し、すべての加入者を有料モデルに移行しました。当時、Jioは1日あたり1GBのデータを提供していました。

2017年6月:契約者2億人に到達

Reliance Jioは、サービス開始から9か月後の2017年6月に、2億人の加入者に達したことを発表しました。これは、これは通信サービスプロバイダー、あるいはFacebook、Twitterのようなソーシャルメディアの中で最速でした。

2017年7月:Jio Phoneを発売

2017年7月21日、Ambaniは、世界初の4Gフィーチャーフォン(あるいはスマートフィーチャーフォン)であるJioPhoneを発表しました。 Jio Phoneの発売まで、Reliance Jioはサービスプロバイダーを務めていましたが、ネットワークとデバイスの両方のプロバイダーになることを望んでいました。 JioPhoneの発売はティア2とティア3の都市を直接対象としており、Jioは4Gサービスを楽しんでいない5億人のフィーチャーフォンユーザーが国内にいると主張しました。Jio Phoneはスマートフォン(最低100ドル)とフィーチャーフォン(20ドル)の間の価格帯に存在した需要を、電話自体は無料とししかも大量の無料データ通信をバンドルする積極的なマーケティングにより、直撃しました。Jio Phoneはすぐにベストセラーになりました。

2018年9月:Jioユーザーが月間2.4億GBのデータ消費

2018年9月に、Reliance Jioは通信サービスプロバイダーとして2年間を完了しました。 同社はイベントで、インドにおけるモバイルデータの消費量が月間2億GBから月間37億GBに増加したことを発表しました。 Jioユーザーだけで1か月あたり24億GB近くのデータを消費しているとのことです。 競合のBharti AirtelとVodafoneは価格競争の波にのまれ収益を減少させていました。

2018年10月:契約者2億5,000万人に到達

10月、通信規制機関TRAIの報告書により、Jioには現在2億5000万人の契約者がいることが明らかになりました。JioはVodafoneとBharti Airtelに次いで国内で3番目に大きい通信会社です。これらの数値は、2018年9月までの期間に基づいており、9月だけでも、契約者ベースで5.44%の成長を記録しました。

2018年10月:JioPhone販売台数が6,000万台到達

Reliance Jioは、2017年7月の販売を開始して以来、インドで6,000万台のJioPhoneを販売したと推定されています。JioPhoneは、特に農村市場で人気があります。市場調査会社 Counterpoint Researchによると、フィーチャーフォンは依然として需要があり、出荷は四つの四半期連続で増加しました。

2018年10月:JioはHathwayとDen Networksリンクを買収

Reliance Jioは、ネットワーク運用とフィーチャーフォンの販売を超えて、有線インターネットのブロードバンドサービスであるJio Fiberの構想を発表しました。Jioは10月、デジタルケーブルテレビとブロードバンドを提供するHathwayとDen Networksの過半数の株式を取得した後に、Jio Fiber構想を発表しました。

2019年7月:Jio FIberの開始を発表

JioはJio Fiberを2019年9月に開始すると発表しました。AmbaniはJioGigaFiberの値付けは700ルピー(約10ドル)からとしグローバル価格の10分の1だと説明しています。Jioはケーブルインターネットでもモバイル同様の価格破壊を起こそうとしています。

2019年8月:契約者3億4,000人到達

Jioは契約者数3億4,000万人に到達したと発表しました。創業から3年足らず。次の目標は5億人だとAmbaniは語っています。Jioは現在、全国のモノのインターネット(IoT)、家庭および企業のブロードバンドサービス、および中小企業向けのブロードバンドを含む4つの新しい成長エンジンに焦点を当てています。


2017年にReliance Jioを扱った記事はこちら。

『最強財閥リライアンスがインドのインターネットをネット接続を水のように安くしている理由』

Image via Jio Youtube Channel